日本正教会

至聖なる我が女宰生神女永貞童女マリヤの福音祭

3月25日/4月7日(ユリウス暦/グレゴリオ暦)

使徒経:エウレイ2:11-18

  • 2:11 事実、人を聖なる者となさる方も、聖なる者とされる人たちも、すべて一つの源から出ているのです。それで、イエスは彼らを兄弟と呼ぶことを恥としないで、
  • 2:12 「わたしは、あなたの名を/わたしの兄弟たちに知らせ、/集会の中であなたを賛美します」と言い、
  • 2:13 また、/「わたしは神に信頼します」と言い、更にまた、/「ここに、わたしと、/神がわたしに与えてくださった子らがいます」と言われます。
  • 2:14 ところで、子らは血と肉を備えているので、イエスもまた同様に、これらのものを備えられました。それは、死をつかさどる者、つまり悪魔を御自分の死によって滅ぼし、
  • 2:15 死の恐怖のために一生涯、奴隷の状態にあった者たちを解放なさるためでした。
  • 2:16 確かに、イエスは天使たちを助けず、アブラハムの子孫を助けられるのです。
  • 2:17 それで、イエスは、神の御前において憐れみ深い、忠実な大祭司となって、民の罪を償うために、すべての点で兄弟たちと同じようにならねばならなかったのです。
  • 2:18 事実、御自身、試練を受けて苦しまれたからこそ、試練を受けている人たちを助けることがおできになるのです。

福音経:ルカ1:24-38

  • 1:24 その後、妻エリサベトは身ごもって、五か月の間身を隠していた。そして、こう言った。
  • 1:25 「主は今こそ、こうして、わたしに目を留め、人々の間からわたしの恥を取り去ってくださいました。」
  • 1:26 六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神から遣わされた。
  • 1:27 ダビデ家のヨセフという人のいいなずけであるおとめのところに遣わされたのである。そのおとめの名はマリアといった。
  • 1:28 天使は、彼女のところに来て言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」
  • 1:29 マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ。
  • 1:30 すると、天使は言った。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。
  • 1:31 あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。
  • 1:32 その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。
  • 1:33 彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない。」
  • 1:34 マリアは天使に言った。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」
  • 1:35 天使は答えた。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。
  • 1:36 あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。
  • 1:37 神にできないことは何一つない。」
  • 1:38 マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」そこで、天使は去って行った。

出典先:日本聖書協会 新共同訳

生神女マリヤ福音祭

生神女マリヤ福音祭

生神女マリヤ福音祭

(ユリウス暦3月25日/グレゴリオ暦4月7日)

創造と、人が神様に対し大きな罪を犯してからというもの、神様は救い主イイスス・ハリストス(イエス・キリスト)がこの世に来られることを人間のために準備しておられました。人は大きな罪をおかし、神様御自身が人類を救うために降って行かなければならないだろうと言うことを神様はいつもご存知でした。

人々が救いを受け入れ、主に従って行く用意ができる、その時を神様はまた前もってご存知でした。神様はまた、救い主の母となれる大変清らかで、神様に 従順な女の子が現れる時を前もってご存知でした。

聖なる乙女マリヤは、そうした清らかで神様に仕えるのに 充分 な人でした。

マリヤは、両親のお祈りへのお答えとして生まれました。三才の時、宮に連れて行 かれ、神様に差し出されました。その時からずっと、マリヤは神様の家に暮らし、いつも神様にお祈りをするという奉仕の他は何もしませんでした。

マリヤが12才になり、これ以上宮にいられなくなった時も -律法でそのように決められていました- マリヤは、このまま神様にお仕えしたかったのです。でもマリヤに一体何ができたでしょうか? マリヤは、自分自身が、生涯を神様に差し出し、神様に仕えるために、生涯清らかでいることを望みました。だが、その頃はまだ女子修道院 というものは一つもありませんでした。そこで、マリヤも修道女になることはできなかったのです。マリヤは祭司のところへ行き、マリヤが心から望んでいることを話しました。その老祭司は、マリヤが神様を愛していることを聞いて大層喜びました。祭司は神様にお祈りし、神様は祭司に何をしなければならないかお答えになりました。マリヤには一人のごく身近な親戚がいました。多分、伯父さんだったのでしょう。大変年をとった人でイオシフ(ヨセフ)と言う名前でした。イオシフ(ヨセフ)の奥さんは、イオシフ(ヨセフ)がこれから育ててゆかなければならない子供をのこしてすでに死んでいました。

祭司はイオシフ(ヨセフ)に話し、マリヤがイオシフ(ヨセフ)の 許嫁 となれるようにし、そして、イオシフはマリヤを助ける支度をしました。こうしてマリヤは、生涯処女として神様に仕えることができました。同時にマリヤは、お母さんを亡くしたイオシフの子供たちの母親としての役目も果たすことができました。こうしてマリヤはイオシフ(ヨセフ)と結婚し、イオシフの家に向かいました。

神様がお決めになったある時、聖処女マリヤは部屋で神様にお祈りをし、縫い物のお仕事をしていました。と、突然、強い光が部屋を照らし、マリヤの前に一人の輝 いている天使が立っているのが見えました。マリヤはすっかり驚き、糸を下に落とし、明るい光から自分を守ろうとするように手を上げました。

光輝く天使は、マリヤに優しく、愛情をこめて、そしておごそかな声で「マリヤ、聖神に満たされた人、喜びなさい。主はあなたと共にいます。あなたこそすべての女の前で祝福される人です」と言いました。

それを聞いてマリヤはあわて、それ以上に驚いてしまいました。マリヤは思いました。「でも、私は卑しい罪人なのだ。私のことを『聖神に満たされた人』なんて、なぜこの天使は言うのだろう?」

それから天使は、マリヤが救い主の誕生を成させるために、ただ一人選ばれた者であることを告げました。「でも、どうして私に子供が生めましょう」マリヤは答えました。「私は処女ですのに。」

天使はマリヤを安心させました。「聖神があなたのところに来て、一番強い光があなたの上に 輝 くでしょう。」天使はマリヤに、これからマリヤが生もうとしているハリストス(キリスト)は神の子となるであろう、そして、子供が生まれた後になってもマリヤは処女のままでいるだろう、ということを話しました。

天使ガブリイル(ガブリエル)がそれを言うと、マリヤは床にひれ伏して、涙を流して神様にお祈りを始めました。

実に、マリヤのお腹にできた子は、心から神を受け入れ、神様について行こうとする人々を救うために人となられた神でした。私達が聖母マリヤを Theotokos(テオトコス)と呼ぶのはそのためです。テオトコスとは「神を生みし者」(生神女)と言う意味です。

この天使は、マリヤに別の不思議な誕生について告げました。「あなたの身内のエリザベタは一度も子供を生んだこともなく年をとっていますが、今、子供を宿しています。神様はエリザベタとその夫にも、子供が生まれるようになさいました。」 この子は先駆者イオアン(洗礼者聖ヨハネ)となった人です。

しっかりとした信仰と謙遜によってマリアは大変すなおに神様のご意志を受け入れました。「私は神様の召使です」とマリヤは言いました。「あなたが言われるようになりますように」

こうして天使ガブリイル(ガブリエル)はマリヤと別れました。後になって、ガブリイルはイオシフ(ヨセフ)のところにも現れ、マリヤが生もうとしている特別な子供のことを告げました。マリヤは喜びに満ちていました。マリヤは今までよりも祈りと 斎 をはじめました。

できるだけ早いうちにマリヤはエリザベタが住んでいるユダヤ地方の町に出掛けて行きました。

主の使いの天使は、すでにエリザベタにはマリヤから生まれる特別の赤ちゃんについて告げていました。それは神ご自身が私達を救うために、小さな子供となって地上に来られる様子です。マリヤがエリザベタの家に入っていくとエリザベタはマリヤに会いに急いで出て来ました。マリヤは「おめでとう、エリザベタ」と親戚の挨拶をしました。その時、エリザベタのお腹の中にいた赤ちゃんのイオアン(ヨハネ)は喜んでおどりました。

エリザベタは「主の母が私のところに来てくれるとは何とすばらしいことでしょ う」と言いました。

マリヤはエリザベタのところで三カ月間暮らし、ナザレに帰りました。イオシフ (ヨセフ)は聖母を今まで以上に尊敬と畏れをもってお世話しました。

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